オーディオミキサーのPanLawとは
DaVinci ResolveのFairlightページを使って、タイムライントラックから出力Busに送る時、双方のチャンネルタイプがMonoとStereoのように異なる場合の注意点を解説します。
ソーストラックがMonoで、送り先BusがStereoの場合を考えてみましょう。ソースレベルが-20dBでStereoタイプのBusに送ると、LもRも-23dBになります。トラックのレベルバーに対してBusの方は、明らかに低くなっていることがわかります。この動作の背景にあるのが、PanLawです。

PanLawとは、日本語では「パンニングの規則」と訳すのがしっくりくると思います。このケースのようなMonoからStereoに送る時には、単一チャンネルから二つのチャンネルに分配することになります。仮に、PanLawでのレベル調整をせずに、LもRも-20dBだったらどうなるでしょうか?L/R全体としての電力は、元のモノ信号より3dB大きくなってしまいます。PanLawとは、Mono〜Stereo間のルーティングにおいて、聴感上「同じような」レベル感になるように調整するルールと言えます。音声のような、プラスとマイナスを行き来する信号は、最大値を示す振幅と、信号の電力値という2種類の表現が使われます。ちなみに、振幅と電力のdBとの関係は、下記の数式のようになります。

PanLawのおかげで、MonoからStereoに送る際の聴感上のレベル差を抑えることができます。しかし、このPanLawのレベル調整を採用せずに、レベルメータの表示をソーストラックとBusで一致させるためには、どうすれば良いのでしょうか?その答えは、下記のようにバスセンド機能を使えば解決できます。デフォルトでは、バス出力機能によりBus1などが指定されていると思いますが、一旦この設定を削除するとバスセンドが追加できるようになります。ここから、センドレベルを「+3.0」に指定します。残念ながら、小数点以下は第一位までしか指定できないので、「+3.01」のような指定はできません。今回のMonoからStereoへ送るケースでは、レベルを上げる必要があるので「+3dB」でしたが、StereoからMonoへ送る場合には「-3dB」になります。

PanLaw機能が搭載されている理由は、聴感上でソースとデスティネーションでレベル差を抑える目的でした。Fairlightが採用している-3dBでも、敏感な方はレベル差を感じるかもしれません。そんなこともあって、世の中のDAWアプリケーションでは、-3dBではなく-4.5dBなどを採用しているものもあるそうです。-3dBのPanLawは、Mono信号をStereoセンターに配置した際、LとRそれぞれを約0.707倍として、LとR個別の電力値を加算した結果を元のモノ信号と等しくする方式である。と言えます。
この記事の前提としている環境は、macOS 26.6.1、Mac版DaVinci Resolve Studio 21.0.4です。Resolveのバージョンが同じであれば、Windows版でもこの記事で記載している結果が得られます。

