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Flogを3DLUTとDCTLで比較

FUJIFILMのFlog撮影したショットがDaVinci Resolveでどうなるかを実験していますが、今回はリニアライズする二つの方法を比較してみます。一般的には、Log素材は3DLUTをあてればOK、以上(笑)という考えが大半だと思います。カメラによってはホワイトペーパーで変換式が公開されることが多くなっているので、そのような気の利いた配慮があるモデルでは3DLUTではなく、Resolveに搭載されているDCTLを使ってリニアライズすることもできるのです。数学的で簡単なプログラミングが必要にはなるのですが、そんな手間をかけても得られる良さがあることを知っていただきたくて、今回は両者の比較と手順を紹介したいと思います。

はじめに

カメラはFUJIFILMの発売間もないモデルのX-T30です。第四世代のイメージャを搭載しているので、動画性能も向上していると感じました。数年前のFUJIFILMの写真カメラでの動画性能を知っている身としては、隔世の感があります。

映像の比較

さて、まずは比較を見ていただくのが一番です。DaVinci Resolveの設定は全てRCM(DaVinci YRGB Color Managed)です。使用した素材は1クリップでETERNAのFlogにしていますが、リニアライズ後の露出を考慮してEV補正+1を目安にファインダーで見ると明るい目の設定にしています。このFlogクリップを私が作成した計算式が反映されているDCTLファイルをあてて出力したもの。そして、FUJIFILMから配布されているRec709のETERNAに向けた3DLUTを使ったものの2種類です。3DLUTの方は、露出をオーバー目にしている都合で、3DLUTをあてるResolveのノードの手前でOffsetを使って見た目で近くなるように明るさを調整しています。それ以外は誰がやっても同じような機械的な処理をしています。

私の印象

3DLUTとDCTLとでは目的は同じなので結果も同じになるかといえば、現実的にはそうはなりません。これは業務用カメラでResolveがサポートしているモデルのためのプロファイルをあてた時も同様です。私の経験では、3DLUTをあてる方がコントラストがきつくなる印象がありました。ただ今回の比較では反対にコントラストが柔らかくディティールも少なくなっていました。良い意味でFUJIFILMさんなりの3DLUTへの味付けが感じられます。

DCTLを使った方は、ハイライトの部分が遠慮なくピーキーなまま残っています。その傾向はディティールにも現れていて、木の表面の筋の描写がはっきりと出ています。3DLUTの方は柔らかくぼかされている感じです。個人的な評価ですが、3DLUTは万人向けでいろんなシチュエーションでそつなく描写することを主眼に置いているのかなあとの印象です。検証前はもう少し安っぽい結果になって、ほらDCTLの方が良いでしょうということになると予想していましたが、結果を見ると優劣付けにくいことになりました。

Flogで撮影するのならDaVinci Resolveでゴリゴリ自分で色を作っていくのだ派、の方にはDCTLをお勧めします。そうではなく、面倒なことや難しいことは嫌なので問題ない色で使いたい派、の方は3DLUTを使えば良いのではないでしょうか。またDaVinci Resolve以外のPremiere ProやFCPを使うのなら3DLUTしか選択肢はありません。

DCTLの作り方

さて、DCTLの仕組みですが、簡単に紹介しておきます。DCTLはDaVinciのCTLということでこのような名前になっていて、SMPTEでも規格化されている独り立ちしているものです。オリジナルの色を変換時に使うレシピを書く際に、それを規格化したものと考えてください。レシピはGPUで使っているシェーダー言語に似ていて、C++ベースの記述と言えると思います。シェーダー言語では公開されている規則に則れば思うがままに映像に加工が加えられるので、フィルターなどもある界隈では積極的に公開されているようです。そこから数式を持ってきてDCTLに書き換えができれば、ユニークなフィルターをDaVinci Resolveでも再利用することができるわけです。

というようにDCTLではオープンになっているCTLの書式に基づいて処理を記述することで、ソース映像に加工を加えられるのです。今回はとてもシンプルに書いているので、じっくりとにらめっこすれば何をしているかは見えてくると思います。元になっている数式はFUJIFILMさんがWebサイトで公開しているホワイトペーパーですから何らオリジナリティはありません。ですから、興味がある方は是非積極的にDCTLを活用してみてください。

このようなCTL言語をテキストエディターで記述して、拡張子「dctl」にして保存して、ResolveのLUTフォルダにコピーします。Resolveが起動している場合は、再読み込みかアプリの立ち上げ直しをしてください。その後使用可能になります。使うにはLUTと同じようにノードの右クリックから、もしくはバージョン15以降で使えるようになった、ColorページのLUTパレットから選択してください。DaVinci CTLというカテゴリの中にコピーしたDCTLファイルが見えているはずです。不幸にもDCTLをあててエラーメッセージが出る場合は、記述にシンタックスエラーがあるので、念入りに再確認してください。

ここまでのDCTLで記述したのは、Transfer Functionの部分で、いわゆるカラースペースの方はPrimary Colorの変換が必要です。ただ、FUJIFILMのFlogはホワイトペーパーにRec2020と同じである。と書かれていました。ですのでこの部分はDCTLに記述することは不要で、Color Management設定でTimelineをRec2020/LinearにすればOKです。

作るのが面倒だけど使ってみたい方は、コメントいただければファイルを差し上げます。今回はFUJIFILMのカメラが持つ動画機能とDaVinci Resolveの懐の深い仕組みを紹介しました。

4 thoughts on “Flogを3DLUTとDCTLで比較

  1. ZAP

    非常に興味深い情報ありがとうございます。
    作成してみようとトライしているのですが、Resolveでエラーが出てしまいます。
    もしよろしければファイルいただくことは可能でしょうか?よろしくお願いします。

    返信
  2. yamaq

    ZAPさん

    コメントありがとうございます。また記事に興味を持っていただき嬉しいです。早速ファイルをお送りしますのでお試しください。

    返信
  3. KOJI

    とても素晴らしい面白い解説ありがとうございます。CTLは詳しくありませんでしたが、行列演算の式とパラメータを記述してるように見えますね。DCTLは色々と改変しがいのある感じに見えますし、特にHDR対応へは武器になりそうな印象です。
    また3DLUTの方はやや甘くローコントラスト化しているのは、なんとなくS-Logなどの3DLUTと似た傾向なのかなとも感じました。
    DCTLの方がストレートに発色が出てる感じですね。なのにカラー舗装の道路が、3DLUTの方がより赤く出ていて逆に違和感すら感じます。これは肌色がむやみに補正されてしまう傾向かな?とも感じました。

    返信
    1. yamaq

      KOJIさん、コメントありがとうございます。

      FUJIFILMさんが公開している数式では、入力レンジが0から1.0まででした。ハイライト側だけ様子が少し変になっていて、もしかしたらこのレンジと関連しているのかもしれません。現状ではハイライト側だけ見た目合わせで、トーンカーブで落としています。
      DCTLは完全に数学計算をしているので、近似値で御茶を濁すようなことはしていなくて、その点で私は気に入って使いたくなっているところです。

      返信

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