先日yamaqblogでお知らせした、動画ビューワをリリースしました。対応コーデックが少ない点が当初最も気になっていましたが、そこは将来へポジティブに先送りして、早めにリリースしようと考えを変更しました。その後、何人かの方達にご意見を伺えて、自分では想像していなかった機能の要望もあってそれらを少し加えています。
今回動画ビューワを開発するにあたって、身近な人たちに「動画ビューワにどんな機能を求めますか?」と聞いてみたところ、予想外に広範囲なご意見をいただくことができました。これは私自身まったく予想外のことで、映像制作とはいえ携わるジャンルが異なれば、求める機能にも大きな違いがあることがわかりました。動画ビューワに期待することを聞けば、そのひとがどんな映像の関わり方をしているのかが見えてきてとても参考になりました。現在は当初予定していた機能はすべて盛り込んでいませんが、下記のような機能を有しています。また、動作環境はmacOS10.13以降です。ご注意ください。
- 対応メディアファイル拡張子は、mov、mp4、mts
- タイムコードが含まれていれば表示し、無ければタイマー表示
- タイマーはリセット可能なTM1と固定のTM2
- TM1のセロポイントへのGo to機能
- フレームナンバー表示(0/1スタート切り替え可能)
- 解像度、カラースペース、コーデック、フレームレート表示
- オーディオチャンネル数、チャンネルタイプ、サンプリング周波数、ビットデプス表示
- オーディオトラックは個別に有効/無効を切り替え
- 表示しているフレームのPNG/JPG/TIFFファイルへの書き出し
- 画像ファイル書き出し時にファイル名にタイムコードなどを追加可能
- ファイルのフルパスを表示
- Finderでファイルを表示
- フルスクリーン再生
- 1000/1001再生レートのサポート
- 再生レートの表示機能
- 各種マーカー表示(88%/89%/90%/センターなど)
- 対応フレームレート(16、18、23.976、24、25、29.97、30、48、50、59.95、60、72、95.904、96、100、119.88、120)
開発段階で意識するようになった方向性が、「非破壊である」という特徴です。non destructiveなんて言われることもありますが、読み込んだメディアファイルには一切の修正を加えないという仕様のことを意味します。メタデータの修正ができるツールは私も使っているものがありますが、万が一修正時にファイルの中身を壊してしまうことがあるかもしれません。念入りにコーディングすれば良いかもしれませんが、そこは確実に担保することが現状では難しいと判断して、非破壊という方向性を維持することとしました。この点において物足りなさを感じる方には残念なところではありますが、ご理解いただければ幸いです。
できあがったソフトウエアは、AppleのAppStoreで公開しようかと考えていました。しかし、自力でソフトウエアアップデート機能を実装できたことや、今後Appleが禁止している機能を使いたくなることを想定して、個人で配布することにしました。アップデート機能があるので、当面の間はこまめに更新していただければ、小刻みに新しいバージョンが出てくると思います。
フィードバックに関しては、このエントリーのコメントでも良いですが、当サイトのコンタクトフォームでも結構です。コンタクトフォームに書いていただいた内容は、許可なく公開されることはありません。
軽い気持ちではじめた動画ビューワでしたが、形になるにつれていろんなご意見も加えて面白い展開になってきました。当面は更新に注力して、それに関わるご意見をコミュニケーションに役立てていきたい考えです。ダウンロードはページが変わりますが、こちらからどうぞ。
早速触らせて頂きました。
メタデータ表示のフレームレートがHz表示なのは仕様なのでしょうか?
あと、データがプログレッシブかインターレースか(そして、可能なら優先フィールド)の表示があっても良いと思いました。
色々なリクエストが来るのだと思いますが、今の表示で気になったのはこんな所です。
雨韻さん、いつもコメントありがとうございます。
左側上から一行目のメタデータは解像度とフレームレートになりますが、「Hz」にしているのは私の考えからです。実はここの値はメタデータでは「29.97」のように数字だけの表記で、単位は含まれていません。どのように解釈するかはソフトウエア開発者側の判断になります。
29.97や23.976という半端な数字の由来は、NTSCテレビ信号という電気信号で映像を伝送していたことが発端です。交流電気信号なので1秒間にいくつサイクルがあるかである、Hzを使って表現します。いまや電線や電波で映像を送る、さらには映像を電気信号として扱うことはほんの一部の人達だけになってしまいました。私を含めた大半は、なんらかのコンピュータの派生物で扱います。
このような電気信号が背景にあるため、メタデータに含まれるフレームレートの単位は「Hz」としています。ただ現実的には何フレーム1秒間に表示されるかのフレーム数で扱うので、再生インジケータの単位はfpsとしました。ここのインジケータは、1秒間でいくつフレームが進んだかをカウントしていて、必ず整数で表現しています。小数点以下の端数はありません。
実際にはHzよりもfpsの方が定着しているのでfpsに統一しても良かったのですが、過去からの歴史のことを意識したかったので、ある意味古風なHzも併用していました。
プログレッシブ/インターレース表記ですが、先の左側一行目の解像度の中に小さく出ています。判定はメタデータのfieldの値が1であれば(P)、2であれば(i)としています。優先フィールドに関しては、メタデータに手っ取り早く取得できるフィールドが無かったのと、フィールド素材がNTSCや一部のHDくらいとなったため、この部分は簡易的な扱いになっています。
早速のご回答、有難うございます。
Pの表示、見落としていました。
すみません。
Mediainfo上ではフィールドの奇数と偶数の表示はしていたように思うのですが、
優先フィールドのメタというのは存在しないのでしょうか?
プログラムに関しては不勉強のため、質問ばかりですみません。
あと、10.13以降でないと動かないんですね・・・
別のMacに入れてみて気付きました。
雨韻さん
実は開発の初期段階ではMediaInfoを使ってメタの取得をしていました。その後、AppleのAPIにすべて差し替えたのですが、そこで知ったのはMediaInfoで表示しているメタデータは、取り込まれたメタからの「判断」で表記しているものもあることでした。
フィールドの優先順位などもその中のひとつではないかと現状では判断しています。優先順位は表示するディスプレイやビューワが、元のデータをどのように扱うか選択できるので、メタデータはそこまで拘束はできないのだと思います。
10.13以降という点については、表記していなかったので修正しておきます。ご指摘感謝です。10.12なのか10.13かの判断は難しいところで、今回は10.12でだけ発生している不具合があったため、使用条件を10.13以降とした次第です。
早速DLさせていただきました。
素晴らしいです。ありがとうございます!
photoslackさん、お使いいただいてありがとうございます。
不定期ですが更新していきますので、メニューから時々Updateをしてみてください。
Qlip、早速便利に使用させていただいております。
本当に良いツールのご提供に感謝致します!
そもそも、そういう用途ではないのでしたら大変失礼なのですが、希望も含めてコメントさせていただいてもよろしいでしょうか。
yamaqさんのセミナーで教えていただいたMac内蔵モニターのカラーマネジメントを実行してから、iMacだけでもDaVinciで安心してグレーディングができるようになりました。
月一のキャリブレーション後は正しくキャリブレーションが取れたか確認するため、DaVinciから書き出したMP4ファイルを、Chromeの環境設定を「ハードウェアアクセラレーション」をオフにした状態で再生して確認しています。
DaVinciのカラーページのビューアーとChromeの見た目がほぼ一緒で安心するのですが、Qlipで再生するとわずかに彩度が落ちます。
Qlipでは正しい色味を確認するための用途としては設計されていない、ということなのでしょうか。単なる私の設定ミスなら大変申し訳無いのですが、QlipがDaVinciから書き出すことが一番多いProResも再生できますので、希望も含めてコメントさせていただきました。
photoslackさん
ColorSpaceへのご指摘ありがとうございます。まさにその通りでして、現状では素材のPrimaryColorSpaceを読み込んで、TransferColorSpaceを適用するというOSネイティブの挙動になっています。そのため、Qlipをはじめご使用のMacintoshの環境によって表示する色味が違ってくるはずです。
クリップの持つColorSpaceと、現在の変換テーブルがどのようになっているかを知るために、メタデータからの情報を表示するところに留まっています。
この点は対応の必要性を強く認識していますので、今しばらくお待ちいただきながらお使いいただければ幸いです。現在はオーディオのレベルメーターの実装を進めているところですので、その次のステップで対応したい考えです。
よろしくお願い致します。
なるほど、そういうことだったのですね。
丁寧なご説明ありがとうございました!
開発楽しみにしています!