コンテンツへスキップ

iPad版DaVinci Resolveリリースについて

  • by

Blackmagic DesignのグラントCEOの事前コメントのように、2022年のうちにiPad版DaVinci Resolveはリリースされました。間違いなく、この時期にリリースすることの意味を重視していて、アプリケーションソフトウエアとしての仕上がり具合に関しては、本来のレベルには達していないはずです。そこで、私のDaVinci Resolveを使ってきた経験から、このiPad版リリースへの気持ちを書いてみようと思います。

この段階での評価は時期尚早

YouTubeでのiPad版DaVinci Resolveへの評価は、英語圏では前向きな一方で日本国内ではネガティブな意見も見られます。私はDaVinci Resolveを、BMD社に買収された直後に登場した、Mac版バージョン7から使っています。今から振り返ると、バージョン7.0の完成度はそれほど高いものではありませんでした。それまでのLinux版ハードウエア製品だったものを、Macに移植しただけの状態だったからです。今回のiPad版DaVinci Resolveも、それを思い出させる雰囲気を持っています。

今の段階で、あの機能がないとか安定性が高くないなどの評価は、料理の途中段階での味の評価をしているようなもので、タイミングが妥当ではないと思うのです。せめて、バージョン19?という、次期メジャーバージョンになったあたりでの評価が適切だと思います。

もしDaVinci ResolveのiPad版に興味があるのなら、まだ完全な段階ではないものの、その未来に期待をして現状での利点を未来への視点から自分なりにイメージするのが私は好ましいと思います。安全な高台にいて、ダメな点を指摘しているような評論家視点には用はありません。

すでに始まっている他のページ

現在のバージョン18.1.2では、表に出ているページはCutとColorのみです。あたかもPC版で他のページの表示を隠しているような見え方です。いや実際には、iPad版でも他のページの「建て付け」は進んでいるのです。ある方法を使うことで、18.1.2でもEditやFusionページなど他のページを表示して、問題はあるものの操作することは可能なのです。

私はiPad版のDaVinci Resolveの話を聞いた時には、全部のページをiPadの中に再現するのは無理なのではないか?そんな必要もないのではないか?と感じていました。しかし、開発者たちの中ではそんな意識はすでになかったことがわかります。今すぐにではないものの、きっと近い未来にはページ構成だけはPC版のものと同じようなLook & Feelが再現できるようになると期待しています。

実際にiPad版を使い始めると気がつくのが、ファイル操作の違いでした。そもそもiPadではファイルの存在をなるべく見えなくしているようです。ついデスクトップと呼んでしまう「ホーム画面」には、自分のファイルを置くことはできません。ですからデスクトップとは呼ばないのです。ネイティブな純正ツールだけでは、ファイルの存在を意識するのは、「ファイル」アプリを使っているときくらいです。iPad版DaVinci Resolveでは、この仕様の違いをどうやってPC版に近づけていくのか?もしくは、別の路線で進むのか?そこが個人的には興味深いところです。

どのような用途に適しているか?

このiPad版DaVinci Resolveは、どのような使い方が最も良さを活かせるのでしょうか?単なるPC版の置き換えではないことは間違いありません。そもそもiPadというタブレットデバイスが、私たちユーザーにどのような影響を与えてくれるかなんて、まだ歴史が浅いわけですから誰にもわかるはずはないです。この先タブレットの歴史とともに、自分たちに最適な使い方が身に付いてくるのだと思います。

私がiPadに希望している未来。それは、macOSが動くことです。macOSとiPadOSが統合されるとの希望的観測がまだ残っていますが、その方向性がありえないことはiPadをしばらく使っているとすぐにわかります。私はMacBook Proを長年使ってきたので、ポータブルタイプのMacに未来を見ています。キーボードはあえて外付けを使っていて、トラックパッドではなくマウスを常時使います。そうなると、MacBook Proのキーボードとトラックパッドは不要です。であれば、いっそのことiPadの筐体でmacOSが動いてくれれば、不要なものを排除できるのです。その時のOSは当然ながらmacOSなのです。

AppleはIntelプロセッサへ移行する際に、Boot Campを生み出して二つのアーキテクチャを共存させてくれました。そんな経験があるので、iPadの筐体にiPadOSとmacOSが共存することも不可能ではないと思うのです。ユーザーの好みと使い方で切り替えられれば理想です。

パーソナルコンピュータは、行き着くところまで到達したとの観測もあると思います。しかし、MacというパソコンとiPadというタブレット、そしてそれらを活かすOSも同じ会社が開発しているAppleには、まだまだパーソナルコンピュータは発展途中の段階なのだと私は期待しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください