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iPad版DaVinci Resolveで編集してみた

先日YouTube Liveで、DaVinci ResolveのiPad版ファーストインプレッションについて配信しました。その模様を録画しておき、iPad版のDaVinci Resolveだけを使って短縮版編集を試してみました。テロップの作成以外はすべて、このiPadの中で行いました。そこから得られた経験を元に、気がついたことなどを書いてみたいと思います。

システム構成について

まずどんなiPadスペック、どんな他のアプリ、そしてどんなコントローラーを使って編集をしたのかを説明しましょう。
iPad本体は、今年リリースされたモデルの12.9インチモデルのiPad Proです。内蔵ストレージは、悩んだ結果少し予算オーバー気味でしたが1TBモデルとしました。当初は512GBモデルを予定していたのですが、この場合はメモリ容量が8GBになるので、16GBメモリになる1TBストレージに途中で変更した経緯があります。
コントローラーは、DaVinci Resolve専用のSpeed Editorのみです。一般的なBluetoothキーボードや、Apple Pencilは手元にはあったのですが、使用しませんでした。DaVinci Resolveでの編集はCutページしかありませんので、そのページに最適化されたSpeed Editorが最も瞬発力よく連携できると考えたからです。Apple Pencilを使わなかった理由は、Speed Editorの操作で邪魔になったからです。ただ、今回連携して使ったAffinity DesignerではApple Pencilは使った方が効率は良かったかもしれません。
このAffinity Designerはベクトル画像生成アプリで、Illustratorキラーと言われることもある優れものです。私はこれをテロップ作成で活用しました。Affinity Designerのファイルを残しておくことで、テロップの修正も安心です。また、書き出しではオーバーライトがデフォルトになっているので、修正でもそのまま書き出すだけで最新版に更新できます。この時のDaVinci Resolveの挙動は、テロップファイルが更新された直後に自動的に画像が変更されているので、テロップ変更時のDaVinci Resolve側の操作は不要です。

予想以上のレスポンス

Speed Editorは実はここ1年くらいは全く活用できていませんでした。今回iPad版のDaVinci Resolveを使うことになって、忘れていたこの専用キーボードを奥から出してきた次第です。iPadはBluetoothデバイスとの接続性が安定していて、一度も接続が切れてしまうことはありませんでした。使い始めでもDaVinci Resolveが起動すると、2、3秒すると自動的に使用可能になっていました。そして、Speed Editorのレスポンスが非常に小気味いいのです。これはMacで使っているのと全く同じ感じで、遅れのようなものもありません。
このようにSpeed EditorからのコントロールでDaVinci Resolveを使っている中で、動画の再生やスクラブなどが瞬時に反応してくれます。動画は再生する時には、movファイルからデコードしてRGBデータに展開します。この際にはProResコーデックからの圧縮を解凍する処理も含まれるので、実はコンピュータ側の処理は大変なのです。しかし、再生時に「もたつく」ようなこともなく、イントラフレームのProResコーデックの良さと合わせて編集作業に最適化されてる感じがしました。

課題に感じたのはファイルの操作

DaVinci Resolveの操作だけなら、Macと似たようルック&フィールで使えるのですが、テロップを読み込んだり追加のメディアを読み込もうとすると、iPadOSの仕様であるファイル管理の部分でもたつく感じは否めませんでした。iPadOSにはMacのFinderに相当する「ファイル」というアプリがあります。これを使っていくのですが、フォルダを開くのはシングルタップです。一方DaVinci Resolve内のBinではダブルタップになっていて、この使い分けが当初非常にストレスのもとになりました。また、前回使用したフォルダが次回にもすぐに開いてくれないので、奥深くに素材を溜め込んでいるとかなり時間のロスになってしまいます。iPadOSでは、ファイルという概念を大きく覆そうとしているような目論見を私は感じているので、今後このファイル操作の進化には個人的には興味を持っています。

使用後のまとめ

この新しい編集とグレーディングの環境は、どんなユーザーにもお勧めできるかというと、かなり用途が限定されているというのが、現状だと感じました。DaVinci Resolveのカラーワークフローでの信頼性の高さを信じていて、ロケーション撮影などのフットワークを求められるような現場では実力を発揮できる可能性があります。決して、これまで使っていたMacの代わりになるような存在ではないので、その点は誤解のないようにしていただければと思います。
このような現状を踏まえて、自分の用途に合うかどうかをご判断してください。また、今後の展開に期待して今のうちからこのiPad環境に慣れ親しんでおきたいというような方には、私は嘘偽りなく「ワクワクさせてくれるので、是非どうぞ」とお勧めしたいところです。

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