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DaVinci ResolveのRCM2(1)

DaVinci Resolveバージョン12で初めて搭載された〜DaVinci YRGB Color Managed〜通称RCMですが、現在のバージョン17において、大きく更新されました。ユーザーから見るとプロジェクト設定の中の項目が増えて、却って面倒になったように見えるかもしれませんが、より精度を高めるための進化だったと言えます。そこで、当ブログでは今回から数回にわたって、私の理解に沿ってユーザーマニュアルなどから得られた知識をまとめてみたいと思います。

そもそもRCMとは何か?

デフォルトのプロジェクト設定では、カラーサイエンスはDaVinci YRGBになっています。デフォルト設定なのだから、これを使っていれば間違いないだろう、と考えるのは誤りではありません。私も他のソフトウエアでは、そう考えることも少なくありません。しかし、せっかくDaVinci Resolveを使うのであれば、デフォルトのままではなく是非DaVinci YRGB Color Managedを使ってほしいと思っています。では一体両者にはどんな違いがあるのでしょうか。

そのキーワードは、Display ReferredとScene Referredです。これを聞くと余計にややこしく感じて混乱の元になるかもしれません。とは言えこの考え方は、今後の映像処理では重要なキーワードになることは間違いありません。なぜなら、HDR制作では欠かせないからです。HDRは自分にはまだ早い?そう考えるかもしれませんね。何を隠そう私も心の中では、少しだけその考えは残っていますので(汗)

デフォルト設定のDaVinci YRGBはDisplay Referredで、新しいDaVinci YRGB Color ManagedはScene Referredなのです。Display Referredはマスターモニターで色を確認することを前提とした色の処理方法で、これまで我々が馴染んできたやり方です。このやり方は今後も大きく変わることはないと思いますが、この方法には弱点がありました。それは、RAWやLog収録した素材を処理するときに関係します。もしも、メーカーが異なる機種のカメラが混在した際のカラーマッチングを真剣にやるときには、従来使ってきたDisplay Referredでは、人力に頼る面が増えてしまってワークフローの中での負担が多くなりがちでした。

映像の最終的なゴールは、モニターやスクリーンなどのような、何かに表示もしくは投影して鑑賞することです。ここでは物理的な光で発光もしくは反射した映像を視覚を通して見ることになります。そうです、私たちは光を通して映像を見ているのです。音が空気の振動を耳の中の鼓膜を通して聞いてるのに似ています。物理的な現象を感覚に置き換えているのです。

Scene Referredを一言でわかりやすく表現すると、映像を光で表現する手法と私は理解しています。ソフトウエアではRGBなどのカラーコンポーネントをデータとして扱うので、色はRGBの混ぜ方「だけで」決まると考えている方も少なくないでしょう。しかし、これらのデータだけではモニターなどで表示した時の光の素性を示せないので、欠落しているものがあります。それは、RGBデータをどんな光に変換するかを示すプロファイルです。このようにRGBとプロファイルがセットになって、初めて映像の色、言い換えると映像の光の特徴が示せるのです。Scene Referredでは、常に光を意識しますので、RGBデータとセットにしてプロファイルを合わせて処理しています。Display Referredではプロファイルは必要とせずに、出力のプロファイルを前提に処理が進みます。

DaVinci YRGB Color Managedの利点

RAWやLogを使わずに、単一のカメラで撮影した素材を扱うのであれば、Display ReferredのDaVinci YRGBでも不都合はありません。ただ、先にも述べたように、今後のことを考えて今からそれに合わせたやり方を身につけるのが長期的には有益であると私は考えています。ですので、いろんなところでScene ReferredのDaVinci Resolve活用法を説いてきた次第です。将来的な準備以外には、何か利点はあるのでしょうか。

最も有効なのは、Log素材をLUTでリニアライズするときに感じられると思います。LUTを使ったやり方は、たいていのアプリケーションで対応している今やデファクトスタンダードです。しかし、です。LUTは多くてもRGBをそれぞれ65段階の情報でしか持たない、ざっくりとした処理方法です。この点はこの少ない情報の中に上手く特徴を盛り込んでいて、処理も軽量にできるという利点はあります。しかし、精度という面では物足りなさはあります。最も問題になりやすいのが、ハイライトのクリップです。撮影時にLogカメラの露出を高く設定しすぎると、LUTを使った処理ではハイライトがクリップしてDaVinci Resolveを使っても諧調が戻らなくなることがあります。その際は、LUTの前段で露出を抑える処理を加えねばなりません。それは、ちょっと面倒です。面倒だけではなく、諧調処理はざっくりしているので、処理するソフトウエアによって若干のクオリティの差が発生することもあるでしょう。

このようなLUTの課題はDaVinci YRGB Color Managedでは起きない原理になっています。DaVinci Resolveの内部処理では32bit浮動小数点でデータを維持していることと、ハイライトと0%以下のマイナス値を表現できる特徴から、クリップは非常に発生しにくい特徴があります。

このRCMは、バージョン17では大きく進化しています。この先の一連の記事では、引き続きこの辺りを多角的に解説していきます。

「DaVinci ResolveのRCM2(1)」への2件のフィードバック

  1. DaVinci Resolve初心者ですが、RCMのDisplay ReferredとScene Referredの記事わかりやすく、ありがとうございます?

    Automatic color managementについても記事がなかなかないので、期待してます?

    1. コメントありがとうございます。
      Automatic color managementのあたりも、解説できるよう考えてみます。

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