YouTubeにアップした動画の色を転ばなくするには

これまたみなさんが困っている問題ではないかと思います。YouTubeは今や映像を公開したい人にはスタンダードな存在で、その対象はプロやアマチュアというような分類では分けることがナンセンスな状況です。公開に対する敷居も低く、幅広く自分が作った映像を見て欲しい時の一番メジャーな「場所」だと言えます。しかし、プロならば自分が作った動画の色が思ったように表示されないもどかしさを感じているかもしれません。そこで、編集中のビューワの色と、完パケをYouTubeにアップしてWebブラウザを通して見た色を近づけるテクニックを紹介します。

2020年9月11日に加筆修正して、Color Space Transformの設定を見直しました。初期の記事を参考にしている方は、ご注意ください。以前の設定よりも、カラーシフトの改善に効果が見られます。

なぜYouTubeにアップすると色が変わるのか?

申し訳ありませんが、私にはその理由がはっきりと掴めていません。今回使用したDaVinci Resolve内部の設定「Rec.709-A」は、Mac限定のためのガンマ値を約1.96にするための設定との情報があります。YouTube側ではクリップのNCLCを読み込みながら、1-1-1(Rec709)の場合には、ガンマが1.96であるとの前提で処理をしているのかもしれません。

YouTubeではアップロードした動画は、解像度別に多数のメディアファイルに変換されています。我々が普段目にしている映像はその中のどれかになります。さらに、オーディオのみのファイルも作られています。また、YouTubeではLiveストリーミングにも対応したり、その際の巻き戻し再生や、通常動画での倍速再生など今後はさらに多機能なサービスを提供してくれる期待感はあります。

このような多機能なYouTube故に、内部での映像の処理も単純な「変換」だけではないことが想像できます。インターネットサービスの最先端であるため、日々進化や改善も見えないところで進んでいるでしょう。そんなわけですので、今回紹介する内容はいつも以上に「賞味期限」が短い内容である点をご理解ください。すでにこのテーマでは2020年の春先にはじめて記事を書いていますが、その時からも内容に変更が出ています。

今回紹介するカラーシフト対策は、技術的になんら裏付けがあるものではなく、言ってみれば「対処療法」です。「2020年9月現在ではこんな方法で色の転びを少なくできていますよ」という技術的に見るとなんとも情けないのが実情です。しかし、今のところはこれをやれば、対策なしよりは改善することは確実なので、その方法をyamaqblogで紹介しようと考えた次第です。

1)環境の準備

条件さえ揃えばどんなアプリケーションでも大丈夫だとは思いますが、今回使用するのはDaVinci Resolveです。有料版でも無料版でもどちらでも使用可能です。バージョンはなるべく新しいものをお使いください。それだけです。今回は正確なモニタリングのための外部モニターやビデオI/Oも不要です。完成したRec709規格のマスターファイルさえあれば、DaVinci Resolve内で変換をするだけです。

2)DaVinci Resolveの起動

DaVinci Resolveを起動して最初に現れるウインドウがプロジェクトマネージャですが、そこから右下のNew Projectで新規プロジェクトを作成します。DaVinci Resolveでは一般的な動画編集ツールのように、プロジェクトを作成しても保存したファイルは現れません。この点が不思議に感じると思いますが、そんな仕様なのです。プロジェクトを作成するのが面倒な方は、Untitled Projectをダブルクリックするだけでも構いません。その場合は、作業中はずっと名称未設定のプロジェクトのままで作業を続けられます。アプリがクラッシュしたら、もう一度振り出しに戻って始めてください(笑)

3)プロジェクト設定

スクリーン右下にあるギアマークをクリックすると、プロジェクトごとの設定ウインドウが開きます。環境設定に似ていますが、ここでは今回作成したプロジェクトだけに反映する設定ができます。

Color Management
・Color science・・・DaVinci YRGB Color Managed
・Input Color Space・・・Bypass
・Timeline Color Space・・・Rec.709 Gamma 2.4
・Output Color Space・・・Bypass

以上四点を設定変更してください。その後、ウインドウ右下のSaveでウインドウを閉じてください。

4)クリップの読み込みとInput Color Space設定

スクリーン下にあるページ切り替えボタンから、一番左にある「Media」をクリックします。MediaページはDaVinci Resolveで使用する素材を読み込むための機能がいろいろ用意されています。読み込みにもたくさんの選択肢とオプションがあるのですが、ここでは最もシンプルで間違いのない方法を使用します。あらかじめ書き出してあるメディアファイルをFinderで表示しておき、それをドラッグ&ドロップでダイレクトにMediaページの下半分の領域に読み込みます。ここはMedia Poolと呼ぶ素材の置き場所です。DaVinci Resolveがサポートしている形式であれば、この方法が最も直感的です。

次に、Media Poolにある読み込んだクリップを右クリックします。Input Color Spaceの中から「Rec.709 Gamma 2.4」を選択します。これにより、先ほどプロジェクト設定でInput Color SpaceをBypassにしていて未設定だったところが解決されました。

5)タイムラインの作成

読み込んだクリップは、タイムラインに配置しなければ基本的な流れでは書き出すことができません。読み込んだクリップを使ったタイムラインを作成するために、Media Poolのクリップを右クリックします。その中の一番上にある「Create New Timeline Using Selected Clips…」を実行します。小さなウインドウが表示されるので、その中でタイムラインのスペックを指定します。

Timeline Nameは自由に設定可能ですが、デフォルトのままで構いません。続いて、左下の「Use Custom Settings」をクリックしてページを進めます。Formatタブではタイムラインの解像度やフレームレートなどの重要な項目があります。間違いのないようにセットしてください。ドロップフレームの場合もここで設定します。確認後右下の「Create」をクリックします。これにより、読み込んだクリップを含んだタイムラインが作成されました。

6)Colorページでの色変換

今回使用するプロジェクトでは、タイムラインのカラースペースをRec.709 / Gamma 2.4としています。以前書いた時はDCI P3にするようになっていましたが、その後の検証で改善が確認できたところです。

今回作成済みの取り込んだマスターファイルは、Rec709を前提にして完パケしています。それをYouTubeでの内部処理による色変化を打ち消すような調整をDaVinci Resolveの中で行うことが必要です。そこでColorページにあるOpenFXプラグインを使用します。プラグインの中には有料版でしか使えないものもあるのですが、今回使用するColor Space Transformは無料版でも使用可能です。Colorページに切り替えて、ノードグラフのとなりにOpenFXを表示します。その中から、Color Space Transformを選択して、ノードにドロップします。続いて下記のように設定してください。

Input Color Space・・・Use timeline
Input Gamma・・・Gamma 2.4
Output Color Space・・・Use timeline
Output Gamma・・・Rec.709-A

これにより、ビューワのコントラストがグッと締まった感じになり不安になると思います。しかし、ここでは色調整をするのではなく色変換をしているのです。YouTubeにアップした時に期待する色に近づけるための調整だと思って安心してください。

この方法が使えるということは、今回のようなRec.709完パケではなく、今後出てくるであろうRec.2020の場合でもInput Color SpaceとInput GammaをRec.2020に変更すれば対応できるはずです。ただし、その頃にはYouTube側の仕様が現在とは違った様子になっている可能性もあり、このような追いかけっこがずっと続くのかもしれません。

7)DaVinci Resolveからの出力

書き出しのためのDeliverページに切り替えてください。スクリーン下の一番右の項目がDeliverです。Deliverページの左上からはじまるパートが、書き出し設定のためのパレットです。上から順番に確認していきましょう。

最上部にはプリセットが並んでいますが、Customを選択してください。次に出力先の設定のためにBrowseボタンを押してください。macOSのダイアログが表示されるので、デスクトップなどの書き出し先を指定します。書き出しするファイル名は「Filename」に入力してください。 そして、これがDaVinci Resolveの独特のオプションなのですが、Render設定から「Single clip」を選択します。これによってタイムライン全体が単一ファイルに出力されます。次からはビデオとオーディオのコーデックを指定します。

YouTubeでは配信用のビデオコーデックはH.264を使用しているようですが、念のため書き出しはProRes422HQ形式を私は選ぶようにしています。これがどのくらいクオリティ維持に貢献するかは不明です。単にアップロードに時間が長くなるだけの無駄かもしれませんが。オーディオはAACでも良いかと思います。

設定は以上で、「Add Render Queue」をクリックすると、スクリーン右側の書き出しキューに登録されます。続いて「Start Render」をクリックすると後は書き出し完了を待つだけです。

8)アップロードと確認

YouTubeへのアップロードは通常通りでなんら特別な点はありません。ProRes形式を指定したので、普段以上に待ち時間は必要になりますが、そこはご容赦ください。長尺の場合にはProRes422LTでも良いかもしれません。

色の再現性はいかがでしょうか。カラーピッカーで比較すると厳密には少しのズレは出ていると思います。ただ、目視での確認ならば何もしないよりはずっと効果は出ているのではないでしょうか。今回使用した環境は下記の通りです。また私が確認したWebブラウザはSafariとGoogle Chromeです。

・macOS10.15.6 Catalina
・DaVinci Resolve 16.2.6

念のため、DaVinci Resolveのビューワを基準にして、YouTubeにアップしたクリップをWebブラウザ(Chrome)で見た双方の、RGB値を表にまとめました。これは、macOS付属のDigital Color Meterアプリでピックしたものです。


比較の際に使用した映像は上記のような自作チャートです。24個のカラーパッチにはRGB値が記入されています。比較の際にこの値とは大きく異なっているのはColorSyncの影響で、ここでオリジナルのRGB値との差は問題ではありません。DaVinci ResolveのPreferencesで、ColorSyncのDisplay Profileを有効にしているためです。

変換ではなく通常の色調整時には

高機能なDaVinci Resolveを今回紹介したような単なる変換だけで使用するのは、開発者が聞いたらさぞがっかりすることと思います。カラーコレクション機能に加えて、編集や合成、サウンドミキシングも十分独り立ちできる機能を持っているので、この機会にDaVinci Resolveを使い始めてみるのも良いと思いますよ。

さて、DaVinci Resolveユーザーの方は通常の色調整でも使われていると思いますが、そんな時にはどのようにセッティングするかを最後に書いておきます。

今回の記事の修正で、一般的なRec.709編集の際のプロジェクト設定(Color Management)と同じになりました。したがって、マスタータイムラインをはじめに作成してから、タイムラインをネス化して別のタイムラインを作り、そこにColor Space Transformの設定に基づいて色の変更を加えてください。

「YouTubeにアップした動画の色を転ばなくするには」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: YouTube動画で色についての考察(追記) – yamaqblog

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください