Resolve16.2.2でのRec709Aサポート

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去年のバージョン15の最後の頃にも、Mac環境でDisplay profileサポートが唐突に追加されましたが、今回も同じような時期に同じくらい重要な機能追加が行われました。しかし、あまりこの点をリリースノートでは重要そうには書かれていなかったので、補足しておきたいと思います。

709Aサポートの活用

ユーザーがどのようにResolveと接すれば良いかの、結論から書いておきましょう。ビデオの完パケでRec709のファイルを成果物として書き出したい場合には、RCM(Resolve Color Magaged)使用の場合には、TimelineとOutputのColor Spaceは「Rec709A」にしておけば良いことになります。これまでは、この項目がなかったので、私はSeparateにチェックを入れて、Rec709/Gamma2.4で書き出していました。これからは、Separateのチェックは不要で、単に「Rec709A」を選択すれば良いのです。まあこれは、少し前までの方法にやっと戻れたというわけです。

背景にある事情

そもそもDaVinci Resolveは、ポストプロダクション向けのシステムでした。システムだったので、マスターモニターのような外部モニターが必ずDaVinci Resolveと共に使われる環境を想定していました。しかし、バージョン7.0以降Mac版のようなパソコンベースのアプリケーションソフトとして使われるようになって、外部モニターが無いような環境の方が多くなっていきます。このような環境では、ResolveのColorページなどのビューワで見ていた色が、書き出したQuickTimeムービーファイルをプレーヤーアプリで見た時とで、色に違いが出ることがありました。これは、Resolveから書き出したファイルの色が間違っていたのではなく、表示したアプリケーションの環境がResolveとマッチしていなかったのが原因でした。

そんな背景があったので、バージョンが15.2.3の時にMac環境限定ではありますが、ColorSyncとの親和性を高める拡張が追加されました。この時も、先に書いたように今回同様さらっと機能が追加されて、私はとても複雑な心境だったことを記憶しています。当時のyamaqblogにも記事が残っています。

QuickTimeのNCLCタグ

動画のメディアファイルは、写真のようにカラーマネージメントシステムの運用がまだ定着していない事情があります。しかし、技術的な背景は出来上がりつつあり、ファイル側の対応としてはAppleのQuickTimeの仕様にはメタデータを埋め込める仕組みがすでに備わっています。これは、ファイル内にNCLCタグを埋め込んでおき、表示したり処理をするアプリケーション側でそれを踏まえて色の処理を正確に行うことができます。NCLCには、Color Primary、Transfer Function、Color Matrixの3つの要素があります。Color Primaryは、RGBの最大値がCIEの色空間の中でどこを指し示すかを規定しています。Transfer Functionはいわゆるガンマカーブ特性の記述です。そして、Color MatrixはYCbCr Matrixと呼ばれることもある、RGBとYUV(ここでは便宜上このように表記しましたが、色差データの意味です)の変換式です。これらによって、ファイルに記録されているピクセルの値が、アプリケーションによって正確に処理できるようになるのです。

このあたりの技術的な解説は、FilmLightの動画解説がわかりやすいです。本家の動画に日本語の字幕付きで視聴できるので、技術系の方はじっくり見ることをお勧めします。日本語字幕の追加に感謝致します(> Mさん)。

QuickTimeファイルに埋め込まれているNCLCタグはFinderから情報を見ると確認できます。Rec709では、1-1-1のように3つのタグがID番号として列挙されています。三つの数値は先に述べた、Color Primary、Transfer Function、Color Matrixの順番です。

数字の「1」が何を示すのかは、FilmLightの動画には説明があります。私の方でまとめたPDFもダウンロードできるようにしました。興味がある方は、こちらからどうぞ。
QuickTimeNCLCtag.pdf

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