Catalinaと動画ビューワ(追記)

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これまで動画ビューワは、Mac標準のQuickTime Playerを使うと色が正確に表示できないので、使わないことをお勧めしてきました。代替策として無料で使えるmpvを私は推奨してきましたが、その事情がmacOS10.15(Catalina)からは変わってきました。そんな2020年版の動画ビューワ界隈の状況を解説しようと思います。

動作確認のための環境づくり

何をするにも、正確なチェック環境が必要です。同じシステム構成を使うのなら、誰が使っても同じ結果が出なければなりません。そのためのセットアップ方法と、構成についてはじめに確認しておきましょう。


ソフトウエアのビューワで色が正確に表示できているかどうかの確認のために、写真の撮影スタジオでよく使われている、通称マクベスチャートを利用した自前のチャートを私は使っています。このチャートは、カラーパッチのRGB値が公開されているので、それに基づいてIllustratorなどでチャートを使いやすいように作成しています。それをビットマップ化して書き出したTiffファイルをDaVinci Resolveで動画の8bit非圧縮ファイルにして、それをチェックの基本としています。もし元になるTiffや非圧縮movファイルがほしいという方のために、ダウンロードできるように用意しました。動画で8bit非圧縮を使っている理由は、データの並びがRGBになっていてYUV変換のロスがないためです。また、元のRGB値が8bitをベースにしているのもその理由です。この動画ファイルはMacの中であれば標準形式の一つなので、表示できないという事態にはならないはずです。

QuiciTime Playerでチェック

チェック用の素材が準備できたので、試しにmovファイルをダブルクリックしてみましょう。大抵のMacユーザーはQuickTime Playerが起動してカラーチャートが表示されると思います。次にビューワ内のパッチのひとつずつが希望の色になっているかを確認します。


そのために、Finderからユーティリティフォルダに移動します。そこにDigital Color Meter.appがあるので起動してください。このアプリはカーソルがカラーピッカーになり、ポイントする部分のディスプレイに送るRGB値が拾えるものです。値の表示はディスプレイの仕様に沿って切り替えられますが、ここではデフォルトのDisplay native valuesになっていることを確認してください。ピッカーをQuickTime Playerで表示されているカラーパッチにあてるとRGB値が表示されます。この値が目的の値になっているかが最初のチェックポイントです。私が作ったチャートにはRec709を前提としたRGB値が書き込んであるので確認しやすいと思います。


さて、QuickTime PlayerでRGB値を確認すると期待通りの結果にならないはずです。このカラーシフトがこれまでQuickTime Playerを使わないことをお勧めしてきた理由です。DaVinci Resolveのビューワで見てきた色と大きく違いがあるため、作業後受け取ったファイルを自分のMacで確認したところ、見てきた色と違っているので慌てたユーザーも少なからずいたと思います。これはトラブルではなくて、表示するツールの使い方が間違っているからなのであって、使い方を知らない無知から来る悲しい失敗だったのです。

ここで表示されている色はApple製品であれば似たような色を再現できる、いわばAppleカラーなのです。Macで見ていた色が、iPhoneやiPadでもおそらく近い表示になっていると予想できます。このときのMacのシステム環境設定のディスプレイの中にある、Diplay profileを確認すると購入時にセットされたままのデフォルトになっていると思います。この設定がAppleカラーの設定なのです。このAppleカラーは、私たち映像制作者が期待する、Rec709やsRGBといったスタンダードな規格とは別の独自の規格です。Apple製品を使ってさえいれば、一定の色再現は維持できますよ、というAppleのお勧め設定のようなものです。最近の傾向としては、このAppleカラーの白色点の色温度はざっと見て7000Kあたりの少し青目の設定のようです。

Catalinaからのビューワの使い方

このままではQuickTime Playerでは正確に色再現できませんが、一手間加えることで正確に表示できるようになります。システム環境設定を起動してディスプレイに切り替えます。その中にはColorタブがあるので、それに切り替えます。そこにはDisplay profileの一覧があります。macOSがあらかじめシステムにインストールしてあるプロファイルです。映像関係者なら聞き慣れた規格に近い項目が並んでいるでしょう。その中から、Rec709 Gamma2.4に切り替えてみましょう。操作はこれだけです。これによって、QuickTime Playerでカラーシフトが出ていたものが、期待通りにRGB値が合致すると思います。Display profileのリストには他の規格もあるので、必要に応じて使えるかもしれません。


この使い方がこれまではできなかったので、QuickTime Playerでは正確な色が再現できないため使用を避けるようにお勧めしていました。これからは、一手間必要ではあるものの、その点さえ注意すれば映像制作でも使えるビューワになるのではないかと期待しているところです。

この挙動によって、これまで便利に使っていた動画ビューワmpvが逆に面倒なことになります。mpvではDisplay profileを切り替えても動画を再生し始めるとRec709固定に変更されてしまいます。Rec709でしか使わないのであれば良いですが、それ以外のsRGBで使いたい時には要注意です。

まとめ

今回紹介したのはmacOS10.15を使っている環境限定です。10.14以前の環境では同じようには動作しないと思います。私が開発している動画ビューワQlipでは、この仕様変更のためにアプリを作り直しています。そして、対応動作環境を10.15限定としました。まだ、細かく検証し切れていない面もありますが、10.15から変わったColorSync周辺について解説しました。気が付いたことなどあればコメントいただけると幸いです。

(2020年01月29日:追記)
10.14の環境で少し検証してみたところ、QuickTimeプレーヤーでの挙動は10.15と同じでした。すでに一世代前のmacOSからこのような仕様になっていたようです。私の認識が誤っていたわけです。ただ、上記の記事の内容はmacOS10.15では確実な動きをしており、その環境では十分に参考にしていただけることは確かです。

私は動画ビューワのQlipを開発していますが、ビューワを形成するAVPlayerというコンポーネントがあるのですが、その色再現に関しては10.14と10.15では異なっていました。それが背景にあったので、このような記事に至っています。これらを加味して今回の記事を参考になさってください。

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