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DaVinci ResolveとeGPU

前回のエントリーではじめてのeGPUについて書きましたが、今回はその続編で現実的な利用方法であるアプリケーションとの連携はどうだったかについてレポートします。くどいようですが、この実験はAppleが正式にサポートしている方法ではないので、自己責任で行った技術的な検証です。

前回のエントリーでは、macOS10.12.6にautomate-eGPUというeGPUを認識させるためのスクリプトを合わせることで、OSからは簡単にeGPUを認識できたことをお伝えしました。システムプロファイラーのGPUの中に、追加した外付けでサポートしていないGTX1080Tiが出てきました。その安定性も悪くはなくて、強いて言えばMacのシャットダウンで、時々うまく処理が完了せずにカーネルパニックが起きることがありました。それ以外のFinderやアプリケーションを使っている際の動作は、特にそれまでと変わりはありませんでした。

そして、eGPUを追加する最大の目的であるアプリケーションの連携の確認に進みました。DaVinci Resolve14.3とベータ版の15.b6で確認しました。本日リリースのResolve14.3.1も少しだけ試しましたが、14.3と基本的には同じに見えました。ResolveのPreferencesでGPUの認識と処理をどれにするかを指定できます。AMDのGPUとNVIDIAを合わせて使用する際にはCUDAは効率が下がるので、OpenCLかMetalを選ぶことになります。CUDAは指定できますが、その場合はAMDのGPUはリストには現れません。ResolveでGPUは認識できましたが、プレイバックやレンダリングの際にその恩恵が出たかと言えば、その答えはNoでした。eGPU.ioのWebサイトで他の方の書き込みを見てみると、現状ではアプリケーションでeGPUの威力を活かせる状況にはないようです。しかし、macOS10.13.4以降でset-eGPU.shというスクリプトをあてると、アプリでもパフォーマンスが上がったという書き込みを見つけました。

macOSをあまり好みではない10.13.5にクリーンインストールし直して、set-eGPU.shを次に試してみました。このスクリプトは先のPurge-Wranglerと同じ作者のようです。そのため使い勝手も似ています。スクリプトを起動すると、その中でGPU処理を割り当てたいアプリを個別で指定するというものです。これで試してみると、指定したアプリのDaVinci ResolveではGTX-1080Tiだけしか処理で使用されないという残念なものでした。というわけで、結論としては10.12.6と同様でeGPUは認識はするものの、レンダリングやタイムラインなどの再生時に効果は出ませんでした。

CPUとGPUのメータはこのような感じでした。レンダリングの際の様子なのですが、CPUもめいっぱい仕事をしていることがわかります。グラフの右端がレンダリング中で、左側の方に残っているのがタイムラインを再生した時の履歴です。GPUは使用されてはいるものの、Resolve側ではその効果はほとんど上がっていませんでした。

この段階で結論を出すのは早いとは思いますが、第一段階の結果として振り返るとeGPUはまだ始まったばかりの技術で将来に期待。というのがMacでの現状かと私は理解しています。何ヶ月かもしかすると数週間もすれば新しいハッキング方法が見つかって、びっくりするような効果が得られる可能性は高いと思います。それに合わせて本家のAppleも着実に開発を進めていることを期待したいです。CPUの性能アップに限界が見えてきた現状で、コンピュータの総合的な能力を高めるためにはGPUの役割はこの先ますます高まるはず。ハードウエアとそれに付随するドライバなどの環境はどんどん進化するはずです。それにOSがどこまで連携していけるかはAppleの姿勢の現れになります。中途半端ではなく高いパフォーマンスをMacで出したいユーザーのためにも、Appleは力を注いでほしいところです。

今回の一連の実験では、久しぶりにMacでのハードウエアに関わるところを触ることができて、ハッキングの楽しさを感じたものです。クラッキングのような悪意があるわけではないので、コンピュータ好きには楽しい時間でした。Appleの製品は、親心なのかユーザーが深く触れる部分が年々狭くなって来ていて、Macでもその傾向が徐々に拡大されつつあると感じています。コンピュータなのだから、iPhoneやiPadのような窮屈な世界は困るなあと改めて感じていました。

2 thoughts on “DaVinci ResolveとeGPU

  1. akira_sapporo

    ん...

    eGPUってそんなに必要なんでしょうか??
    セットBoxとそれなりのGPU併せて結構なコストがかかりますよね?
    そんなことするより自作Windowsマシンを組めば事足りるかと思うのは私だけでしょうか?

    先日、「PRONEWS」で林さんもWIndowsマシンでのポスト処理を紹介されてました。現状と短期的にはこれが正解だと感じてます。

    また今年12月から4K放送が開始されます。確かNHKの資料だと「ProRes」という文言は無かったかと思います。
    それに今後4K素材を管理するためにこれまでのHDDバックアップなんかコストや信頼性の観点からも必要悪ですよね?コストはかかりますがLTOなどのテープ管理がベターですよ!

    是非とも、今後の日本の映像制作の明るい未来を切り開くためにも、yamaqさんも是非Mac以外のポスト制作への道を今後紹介してください!

    応援してます!

    返信
  2. yamaq

    eGPUが完全に不要かどうかは私にはまだ判断できませんが、この先コンピュータを使う上では効果的なテクノロジーであることは確信しています。残念なことにeGPUは現状のMacintoshでは有効に使いきれていないので、期待をしているところです。

    直近で4k60fpsをしがらみやこだわりに影響されずに合理的な面だけで判断できる方には、すでにWindows環境をオススメしています。ただ私にはその分野での経験がないためにサポートはお断りしています。今後Windows環境もサポートのジャンルを広げていくことは可能性で見ればかなり薄いと思います。

    iPhoneの登場でコンピュータは一人一台が完全に定着したと思います。すでにパソコンはありましたが、インターネットの普及という追い風はあったものの、まだ特定の人だけが使えるものという意識は少数派ではなかった。コンピュータが「お一人様向け」になると、その先にはパワフルに使いたいというニーズが待ち構えています。そこで利用できる対策の一つがeGPUのようなコンセプトだと思っています。次期Mac Proもこのような単体ではなく組み合わせてパワーアップできるようになって登場するはずです。

    eGPUがもう少し役に立てば頑張って導入する道義付にはなるのですが、現状では費用対効果で見るとリターンが少なくて残念に感じています。何かの対策がないかを模索しているところです。

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