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HDCAMの記録モード

先日エントリーしたHDCAMの基礎知識の続編です。VTRでは三つの記録モードがあり、目的に応じてユーザーは使い分けなければなりません。Assemble、Insert、Crash Recの三種類の記録モードです。


これらを理解するために欠かせないのが、ビデオテープと磁気ヘッドの関係です。図のようにHDCAMの場合には、テープに対して斜めに走るヘリカルトラックにはビデオとオーディオが記録されます。さらにタイムコードトラックはアナログオーディオ信号と近い周波数を記録し、CTLトラックはテープを一定速度で送り出すためのキャプスタンモーターのサーボロックなどで使用されます。CTLトラックはビデオテープの中で重要な役割があり、この信号がテープ全編で連続して記録されていなければ、途中で映像や音声が部分的に乱れることになります。

Crash Recモードは、全幅消去ヘッドによってテープ上の磁気データが削除された直後に、ヘリカルトラックとテープ長手方向のトラックのすべてのトラックが記録されます。まるで畑を平らにした後に、丁寧に苗や種を植えていくかのようです。全幅消去ヘッドはテープ走行に対して直角に配置されているので、消去される最初の部分ではヘリカルトラックが一部分だけ中途半端に消去されています。この部分を再生すると映像と音声に乱れが生じます。

Crash Recモードでは記録開始時に必ず映像と音声に乱れが生じるので、編集時には使用できない記録モードです。仮にテープの冒頭部分からCrash Recモードで記録を開始して、テープの終了部分まで記録を継続すれば、ヘリカルトラックの不連続が発生しないために問題がありません。Crash Recモードを使用するときには、必要な記録部分よりも余分に前後を記録して、その内側の安定したところだけを編集で使用することになります。

Crash Recモードでは信号を連続してつなぎどりを繰り返すことができなかったため、それを克服するためにAssembleモードが搭載されています。記録が始まる時点では全幅消去ヘッドは動作せず、先に回転消去ヘッドが不要な部分の先頭から消去します。その後ヘリカルトラックに新しいデータが書き込まれた直後からやっと全幅消去ヘッドが消去を始めます。Assembleモードの記録が終了するポイントでは、全幅消去ヘッドが消去した部分が残っているので、映像と音声は乱れることになります。しかし、次の編集点をその乱れるところの前に設定することで、結果的には不連続部分がテープ上に残らないことになります。

Insertモードはあらかじめテープ全域に渡って、タイムコードとCTLトラック、黒の映像とサイレントの音声を記録しておき、任意の記録したい部分を自由にIN/OUTで指定して記録できます。Insertモードは全幅消去ヘッドは動作しないようになっているため、記録による不連続部分は絶対に発生しない仕組みになっています。Insert編集で書き込みができるトラックは、ビデオ、オーディオとタイムコードだけです。

これらの記録モードを目的に合わせて使い分けますが、ポストプロダクションなどではAssembleモードによるテープ上の信号不連続部分を作らないために、あらかじめテープ全域に渡って黒みと呼ばれる信号を記録して、記録は必ずInsertモードだけを使って運用しています。

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